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【徒然1】 わがまま

「わがまま」

ある日の夕方、娘がわがままを言い泣きじゃくった。

抱っこをして動いてくれといういつもながらの要求だ。

普段は庭を歩いてわがままに応えていたが、

その日は珍しく涼しかったので地元の町を娘と散歩に出かけた。

駅前から商店街に公園や溜池など、僕が小学生だった頃遊び場だった場所へ行ってみた。

集合場所だった駄菓子屋に、自転車で走り抜けた路地。

時折、あの頃の騒がしい声が風とともに吹き抜ける。

ただ、もう二十数年も経つと当時の光景がそのまま残ってはおらず、

建ち並んでいた民家も空き家や更地となり、軒を連ねていた店も多くが商いを辞めていた。

店は営業していても品数は少なく、店主の代でたたんでしまうつもりかもしれない。

いずれ街は街でなくなるだろう。

そんな物寂しい気持ちに浸りながら歩いていた時、ある一軒の店の中から子どもたちの賑やかな声が聞こえてきた。

通り過ぎ様、店の中に目をやると随分とお年を召された店主と帰省してきたのであろう孫達の姿があった。

町も人も換わり移ろう。

かわらないで欲しい、、それがわがままだとわかっていても。

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